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本当にドラゴンヘッドは前世を表すのか?
インド占星術はカルマを前提とした占星術ということが知られるようになってからだろうか。西洋占星術を学んでからインド占星術を習いに来る人からよく受ける質問がある。例えば、

 .▲スティアの葉ってどういうものですか
◆―す圓鮴僂爐肇曠蹈好魁璽廚変わるって本当ですか
 寿命の計算はできるのですか
ぁ.疋薀乾鵐悒奪匹覗粟いわかるのですか
ァ.▲シックレコードってあるのですか

こういう質問は、同じ西洋占星術中でも予測系ではなく主に心理占星術系及び直感系から来た人達がよくする質問である。占いによって未来予測をしそれに適切に対処するより、当たらなくてもいいから傷ついた心を癒してもらいたい人達からの質問である。インド占星術にこのような妙な神秘的イメージを持つ人がいるが実際は論理的な構造をもっている。だからこういう動機でインド占星術を学ぼうとすると挫折することは目に見えている。

アガスティアの葉についてはすでに述べたことがあるが、詐欺商法である。質問後2時間たって答えるのは、神秘の葉をさがしているのではなく、ホロスコープの作成を手計算でやると2時間位かかるからである。△呂泙辰燭の愚問である。修業を積もうと積むまいと、生まれついてのホロスコープが変わるわけがない。そういう出鱈目を言う人がいるのかねと思う。の寿命の計算は大変複雑だができないことはない。でも確固たるものではないとあるインド占星術家は述べている。寿命計算はインドだけでなく古典の西洋占星術でもやっている。「Tools & Technique of the Medieval Astrologers」(Robert Zoller)にはちゃんと寿命計算の方法が載っている。まだ平均寿命が短かった時代は、「人生の幸福」を問う前にあと何年生きるかという寿命の問題の方が優先したのであろう。

い砲弔い討蓮∋笋魯疋薀乾鵐悒奪匹その人の「前世」を表すものだと言う事を知らなかった。リリスについてはかなり前から話は聞いていてそんなものかなと思っていた。だが、ドラゴンテイルの話を始めて聞いた時、「ドラゴンヘッドが前世を表す?え〜っ、ほんまかいな!」と絶句したほどである。ドラゴヘッドは「小社会への適応」でベネフィック、ドラゴンテイルは「小社会の拒絶、不適応」でマレフィックというのが西洋占星術では基本である。因みにインターネットで検索すると出てくる出てくる。こういうことを書いているのは心理占星術を通り越して、神秘オカルト系占術?を行う人達が殆どである。占術のあとに必ず、パワーストーン、レイキヒーリング、オーラソーマ、チャネリング、催眠療法、エニアグラム、アカシックレコード等々の怪しげな宣伝がある。

アカシックレコード (Akashic Records) とは、宇宙や人類の過去から未来までの歴史全てが、データバンク的に記されているという一種の記録をさす概念にすぎない。神智学協会はその多くの神秘思想をインドから表面的にだけ借用してきた。いわばインド思想からカルマの受け入れ、梵我一如、解脱の為の修行等々を西洋流にアク抜きしたまがい物にすぎない。インドオリジナルの思想はもっと人間の深い精神の部分にまで触れる。こういう神秘思想は明らかに神智学協会のでっちあげたものである。ましてやそれを占星術と結びつけるなど論外である。

カルマと言うと、かつてカルト教団が変なイメージを植え付けたので、インド占星術側は大変迷惑している。カルマとはサンスクリット語から直訳すると「行為」或いは「行為の結果として蓄積された宿命」という意味になる。そして、カルマの法則とは「過去世においてなした行為は、良い行為にせよ悪い行為にせよ、いずれ自分にかえってくる」ということである。仏教用語でいう善因善果、因果応報がそれに当たる。それ以上の意味はない。

確かにインド占星術はカルマを前提とした占星術だが、ラーフ(ドラゴンヘッド)やケートゥ(ドラゴンテイル)に前世などと言う意味はない。念の為にと思って何人かのインド人占星術家の著作をみたが、そのような意味はやはりなかった。一言でいえばラーフは物質主義、ケートゥは精神性を表すだけである。

もしインド占星術でカルマを示すものがあるとしたら、ホロスコープ全体がそれを示す。その人の分割図も含めた全体のホロスコープが過去の行為の積み重ねの結果を示す。その人物がこの世で体験しなければならない楽しみや苦しみを示すのである。特定の惑星だけにそれが代表されるようなことはない。ホロスコープにより霊能があるかないか、それが良質なものかどうかを判断する技法は確かにある。ラオ先生の黄色本でも、「木星とケートゥの12室における絡み」という事例が紹介されている。

しかし、そこからその人の具体的な過去生を覗き見るような出歯亀趣味をインド占星術はもっていない。そもそも占星術で前世における人生を見たと、どのようにして証明するのだろうか。どうとでも言いくるめられる事柄である。心理占星術側は「占いは当たらなくてもよい」と開き直るっているからそれでもよいのだろう。しかし、そういう具体性の欠けた領域を、インド占星術では取り扱わない。ラオ先生は、西洋の心理系のものは、ユングも含めて実に「皮相浅薄」だと書かれていたが、まったく同感である。とにかく「軽い」の一語に尽きる。ほの暗いエソテリックな雰囲気がぷんぷんして嫌な気分にさせる。

西洋占星術wikipediaによれば、ドラゴンヘッド、ドラゴンテイルはバビロニア占星術で龍に変じたティアマトの姿に由来しており、インド占星術に導入された後、中世イスラム世界を経由して、西洋占星術にも取り入れられた、と書かれている。つまりインドの方が先輩だ。因みに、古典占星術の本を読むとヘッドやテイルは無視している。古典占星術の代表的教科書「Horary Astrology Rediscovered」(Olivia Barclay)の中ではヘッドやテイルのコメントは一切なく、チャートには載っているが、リーディングでは一切無視している。「The Horary Textbook」(John Frawly)の中でもドラゴンヘッド、ドラゴンテイルの記述は一切ない。確かに西洋占星術でいわゆるドラゴンヘッド、ドラゴンテイルが使用されるようになったのは最近のことである。

石川源晃先生の「占星学教科書」によれば、1927年のホワイトの研究からであると書かれている。ホワイトはヘッドやテイルがどのような位置にある時に有効なのかを述べているにすぎない。前世やカルマについては述べていない。エバーティンによればドラゴンヘッドもドラゴンテイルもともに社会の交流を表す、ランツによればドラゴンヘッドは職業の選定に大きな影響があるとしている。私の実占経験によればこの辺が適切な解釈だと思う。

松村潔氏の「西洋占星術入門」や「完全マスター西洋占星術」にもドラゴンヘッドやドラゴンテイルの記述は特に見られない。流智明氏の「占星学教本」ではドラゴンヘッドは幸運のポイント、ドラゴンテイルは不運のポイントというのが通説のようだと書かれている。確かにそのように解釈する。つまり2000年の頃まで、日本ではドラゴンヘッド、ドラゴンテイルが前世と関わるという解釈は見られなかった。

これがルルラブア氏の1999年の著作「占星学入門」の頃になるとドラゴンヘッド、ドラゴンテイルは前世と関わるような記述が簡単に書いてある。どうもヘッドやテイルが前世と関係があると大々的に書き始めたのは心理占星術家ジャン・スピラーあたりからのように思われる。彼女の著作「前世ソウルリーディング」〜あなたの魂はどこから来たのか〜が2000年に日本語に翻訳出版された。それから、2003年になって増補改訂版の「正統占星術入門」(秋月さやか、Gakken)が出版され、ドラゴンヘッド、ドラゴンテイルに前世の意味が新たに付与されている。しかしカルミックな占星術は本来「異端」に属するものと思う。

こういう動きを契機としていろいろのホームページ、ブログ等でドラゴンヘッド=前世説に便乗するかのように盛んにこのテーマを取りあげ始めている。私の目からは、ただ売らんが為に目先の目新しさを追っているだけに見える。つまりスピリチュアル系や癒し系の好きな占い愛好者の関心を買おうとしているだけだ。

既述のように、ラーフ、ケートゥは古来よりインド占星術にあるもので、かなり後になってから西洋占星術に入り込んだものである。オリジナルであるインド占星術のラーフ、ケートゥに「前世」という意味はないのに、一体どういういきさつでこんな解釈がなされるのだろう。しかもつい最近になってからである。率直に言って疑問である。

直接、英語文献を当たってみると、その謎はすぐに解ける。実際には、ノースノードに関する本であっても、それをカルマと結びつけていない本の方が圧倒的に多い。ジャン・スピラーのドラゴンヘッド=前世説であるが、実はインド占星術家J.Braha氏のノードについての説を、彼女がハウスとサインを交換して作り上げたものらしい。そうするといろいろな矛盾が吹き出てくる。検証というより実感としてしっくりこない。妥当でないとする批判意見が当然出されている。「ドラゴンヘッド=前世説」のからくりはそんなものらしい。直観力は鋭くても霊性は低い人は世に存在する。しかし、日本ではそんなことはまったく知らされていない。西洋占星術でカルマを見ていく方法も多岐にわたり、それらが特に検証されているわけでもない。そのような意味で、ドラゴンヘッド=前世とする意見に特別の根拠は認められない。

そうすると日本の占術出版業界が欧米の人気占星術家(だから実力があるとは限らない)のヒットしそうな著作を意図的に無批判に取り入れて、商売の種にしている図式が見えてくる。何も知らない日本のジャン・スピラー・チルドレン達が哀れにもそれに振り回されて、猿芝居を演じていることになる。ただ頭から信じこむだけで、そこには何の知的批判精神もない。日本の占星術界の知的レベルは相当に低い。
 
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コメント
カルミックな占星術は、マスコミのしかけたヤラセと思います。スピリチュアルブーム自体、マスコミのしわざでしょう。それで、癒し系の人達がそれに踊らされている。確かにそんな気がします。
| hirotan | 2009/05/02 8:10 AM | top↑ |
まったくその通りです。
| 本多信明 | 2009/05/02 12:14 PM | top↑ |
こんばんは。時々しか読めませんが、楽しく拝見させていただいております。
ジャンスピラーさんのサイトを登録させていただいたことがあります。占いで前世がでるなんて信じてる人いるのでしょうかね?

いくつも前世はあるとよく聞きますし‥‥‥まず前世がわかる人を大勢リーディングしなければ出せないと思うのですが、ラーフケートゥが前世というのはおかしいですよね。

わたしも太陽と月の意味から考え、社会的な発展する感受点で、そこからくる貪欲さがドラゴンヘッドとラーフ、社会的に裏目にくるものからくる高い精神性(挫折などがあるほど精神性は高くなる気がします)がドラゴンテールとケートゥと考えたほうがいいと感じます。

10年近く色んな西洋占星術の有料サイトさんで前世の項目見ましたが、全部バラバラな結果でした。一般向けなので面白おかしく書いてるのだと思いますが。

自分の前世について調べることもできないと解決できないですよね。
実際に前世が見える方がドラゴンヘッドに前世という意味を付け加えたのでしょうか?

インド占星術ではラーフは違いますが、ケートゥが前世という意味で扱われてるとが少し見ただけでも結構ありました。

前世はわかりませんが
ラーフケートゥがなぜ外国人を表すのか、そしてなぜそれが当たるのかが個人的には気になります。
| eeeey | 2010/05/30 11:26 PM | top↑ |
ラーフはカルマを生じさせる煩悩をあらわし、ケートゥはそれを消滅させる解脱をあらわします。それそののが前世のカルマを示すわけではありません。インド占星術でカルマを示すちしたら、ホロスコープ全体がそれを表します。

ラーフもケートゥもアウトカーストという象意があります。インド人が海外で長く暮らすことは、カーストからの離脱を意味します。
| 本多信明 | 2010/05/31 12:15 AM | top↑ |
お返事ありがとうございます。
やはり先生のおっしゃるとおり、ラーフケートゥが前世は違いますよね。
生まれ持った肩書きや身分(カースト)としての義務の放棄した場合のカルマということですか。

例えば7Hラーフは身分関係なく人との結婚や関わりを持つ・・は違いますね。改めてカーストから抜け出して結婚ですか。

生まれ持った身分をも捨てた発展と生まれ持った身分をも捨てた精神性ということで、アウトカーストな意味はわかりました。

しかし、他のカーストの関係ない国の人間も現代でラーフケートゥを外国人と表すのはどうなのでしょうか?実際にそんなにあたるようには思えないのです。

まだ全てブログ読めてないので取り上げていましたらすみません。

わたしは牡羊座のラーフ期に8室ラーフの同室に海外を表す12室支配太陽と同じく海外を表す9室支配の金星があったのですが、親が海外で暮らしてたにも関わらずまったく興味がありませんでしたし、外国人との関わりもありませんでした。なので少し、外国を表すことに疑問に思っていました。このラーフ期は海外文学や英語からも避けていました。ラーフ期の金星期、太陽期も興味はありませんでした。8室のせいでしょうか。月から11室です。

6室の木星期(4・7室支配)からは外国人の交流や海外音楽や外国語など興味がでました。月から9室。

ラーフケートゥについて
インド風に読むと、こうゆう場合のラーフはカースト制を無視からの発展が困難(8室)ということになるのでしょうか?生まれ持った身分、カースト制から抜け出した発展は望めないという風にインドでは読むのですか?

ラーフケートゥはあまり日本人には外国という象徴は当てはまらないのでしょうか?

【前世】から外れてしまいすみませんでした。迷惑でしたら無視して下さって結構です。
手相と占星術の繋がりについての記事、面白かったです。
| eeeey | 2010/05/31 10:38 AM | top↑ |
eeeeyさん

これだけ長い質問に答えるにはちょっと手間暇時間がかかりすぎますので、コメントで返すことは出来かねます。結論だけ言えば、eeeeyさんがしているようなダシャー時のハウス展開のしかたは正しくありません。
| 本多信明 | 2010/06/01 1:58 AM | top↑ |
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